燐灰石

鉱床外縁の石灰岩中に生じます。短波紫外線で灰緑色に蛍光することあり。

 

あられ石

晶洞の中に、皮膜状またはするどく尖った結晶となって生じます。蛍光色は白色〜乳白色で、長波紫外線によく反応します。

 

斧石

フランクリンの斧石は色が淡く、短波紫外線で深紅色に蛍光し、長波でも蛍光することがあります。ミネラライトのフィルターをはずして紫外線を照てると、燐光が長く残ることがあります。

 

重晶石

蛍光は灰白色。ときに青みがかったり、明るい乳白色の蛍光を示すものもあります。蛍光性の方解石を伴うことが多く、標本として見栄えがします。通常は粒状ですが、ときに塊状、まれに結晶することもあります。短波紫外線に反応。

 

バリー石

希産鉱物。ギリシャ語の「重い」に由来する名前の通り、重たい。へき開完全で、もろい。通常は蛍光しませんが、フランクリンやスウェーデンのラングバンで採れる結晶は、短波紫外線で青白く蛍光します。昼光色は白〜淡青色。

 

方解石

フランクリンでは最もありふれた蛍光鉱物で、マンガンが活性因子となって、短波紫外線により、ピンク石〜オレンジ色の様々な色調の蛍光を放ちます。長波への反応は微弱ですが、なかには強く反応する標本もあります。フランクリンとオグデンスベルグの方解石は、瞬間的に強烈な燐光を発します。この現象は、方解石をカットして球にするとよくわかります。球の背後から短波紫外線を垂直軸に沿ってあててゆくと、球のまわりにオレンジ色の燐光が尾を引くように浮かびあがります。珪亜鉛鉱が斑に混じっている標本では、燐光に緑色の光の筋が入っているのが見えるでしょう。

 

クリノヘドライ

通常、短波紫外線で金茶色に蛍光する薄い皮膜状の鉱物です。燐光を残すことが多く、長波でも弱い蛍光を発します。

 

コランダム

オグデンスベルグの石灰岩中に、粒状または結晶となって産出します。長波紫外線で深い赤色に蛍光します。

 

透輝石

フランクリンの石灰岩中には、青白く蛍光する本鉱が見つかります。ノーバーグ石を伴うこともあります。

 

エスパー石

かつて灰ラーセン石と呼ばれていた石です。エスパー・ラーセンという人に因みます。フランクリンだけに産出する希産鉱物のひとつで、短波紫外線で明るい黄色に蛍光します。長波では色が鈍ります。緑色に蛍光する珪亜鉛鉱や、赤色蛍光の方解石、青色蛍光のハーディストン石、蛍光しないフランクリン鉄鉱を伴うことが多く、きわめて色彩に富んだ蛍光標本となります。

 

螢石

茶色がかった赤い螢石が、フランクリン鉄鉱と一緒に産出します。この螢石は青緑色に蛍光することがよくあります。

 

ハーディストン石

この鉱物もフランクリンの特産品といってよく、小さな白い粒状の鉱物なので、昼光下での肉眼鑑定は困難です。しかし、短波紫外線で青紫(とてもきれい)色に蛍光するので、それと知れます。

 

水亜鉛土

方解石や他の鉱物を伴って産出するパウダー状の鉱物で、青白色に蛍光します。紅亜鉛鉱が風化した古いズリに見つかります。

ニュージャージー州北部のホパトコン湖の水が、浚渫作業のために放水されたことがあります。その時、湖底から大量の水亜鉛土が発見されました。実は、フランクリンやオグデンスベルグの鉱山から、ネワークにあった精錬所まで送られる鉱石は、この湖を横断して運ばれており、その途中でボートから紅亜鉛鉱がころがり落ちることがよくありました。そうした鉱石が何年もの間、湖底にあって風化し、水亜鉛土となっていたのです。湖底が現われたとき、鉱物コレクターたちが大挙して押しかけたことはいうまでもありません。

 

マンガン燐灰石

スヴァーブ石と混同されることがあります。灰緑色の塊、あるいは結晶で、短波紫外線で黄褐色に蛍光します。

 

マルガローザ石

真珠光沢の板状〜粒状の希産鉱物で、名前の由来はギリシャ語の「真珠みたいな板」です。短波紫外線で明るい青白色に蛍光します。

 

ノーバーグ石

石灰岩中に、粒状または、ころっとした結晶で散らばっています。暗いハチミツ色のものが普通ですが、ときに明るめの黄色〜白色のものもあります。明るめのものは短波紫外線で美しい黄色に、暗めのものは鈍い黄褐色に蛍光します。青白く蛍光する透輝石を伴う標本は、とても綺麗です。

 

ソーダ珪灰石

フランクリンでは珍しい鉱物ですが、ピンク色〜灰色の繊維状で産出し、短波紫外線で淡黄色〜オレンジ色に蛍光します。瞬間的にオレンジ色の燐光を残します。

 

金雲母

短波紫外線で金茶色に蛍光することがあります。

 

閃亜鉛鉱

オグデンスブルクに多産する鉱物ですが、フランクリンでも見つかります。粒状〜脈状となって産出します。蛍光色は金〜オレンジ色で、長波紫外線によく反応し、強い燐光を発することがしばしばあります。青く蛍光するケースもあり、オレンジ色の蛍光部の周辺が青く蛍光するような標本もあります。燐光はオレンジよりも青い色の方が明るいのですが、オレンジ色ほど持続しません。

 

スヴァーブ石

砒素を含む燐灰石で、マンガン燐灰石と区別するには、砒素検出検査をする以外に手立てがありません。蛍光色は様々で、白色に近い色の標本は明かるい金茶色に、灰色〜灰緑色のものは鈍い茶色に蛍光するものが多いです。

 

透閃石

明るい灰色の細長い結晶が、周辺の石灰岩中に見つかっています。短波紫外線で鈍い緑白色に蛍光します。

 

珪亜鉛鉱

フランクリンで最も強烈な蛍光を発するのがこの石です。蛍光は通常黄緑色で、まれに黄色のものもあります。昼光下でアップルグリーンの石が、最も強く蛍光します。短波紫外線によく反応しますが、長波でもかなりよく蛍光する場合があります。パーカー坑道で見つかった白い放射状の結晶は、極めて明るく輝き、長く燐光をとどめるものがありました。
珪亜鉛鉱は、ラフな粒状〜結晶となって産出しますが、なかにはかなりシャープな結晶もあります。

 

珪灰石

フランクリンでは珍しい石ですが、蛍光が鮮やかで、人気の高い標本のひとつです。昼光下では灰色〜白色で、何の変哲もない鉱物ですが、短波紫外線で、オレンジ色に明るく輝きます。標本によっては黄色く蛍光する場合もあります。長波蛍光は微弱です。
1930年代に採掘された鉱床の標本で、現存するものはほとんどありませんが、緑色に蛍光する珪亜鉛鉱を伴い、実に美しい蛍光標本がありました。近年では、蛍光性の方解石を伴った大きな粒状塊が大量に出回りました。青白く蛍光する重晶石を伴うものも、よく見かけます。


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