しずく1.

O君は小さな青い石を持っていた。
いつもズボンのポケットに入れて歩いてたんだが、しょっちゅう手をつっこんで、石に触ってみるのが癖だった。
そうすると安心するらしいんだな。
でも、あるときお母さんが、お行儀が悪いといってO君を叱ったんだ。それからは、なるべく人前では触らないようになった。
          だから、みんな、O君がとても素敵な
          石を持ってるなんて知らないのさ。