しずく6.

Kさんの水晶は、この辺りではちょっと有名だ。

親指くらいの小さな石なんだが、不思議な模様が現れるのだ。何年か前、Kさんは、結晶の中に小さな青白いしみのようなものが見えるのに気がついた。それが毎日だんだん大きくなって、おたまじゃくしの尻尾のようなものが出てきた。尻尾はしばらく長く伸びて、また短くなった。しみはそのうちに小さくなり、やがて見えなくなった。

それがちょうど○○彗星が30年ぶりで地球に接近した時期に重なっていて、夜空に浮かんだ彗星の形にそっくりだったので、町中の評判になったのだ。私ももちろん見に行ったから、この話が本当だと保証しよう。