しずく14

東京に出るとき、Mがお守りにくれた黒っぽく光る石は、新しい生活に慣れたころ、いつのまにか見えなくなった。

あっという間に4年が過ぎて、地元の会社に就職が決まった。帰郷のために、荷物を整理していると、たんすの隅から、ひょこりあの黒い石が出てきた。
帰ったらMに会いたいな、と思った。