しずく16.

ふと見ると、庭木に水をやっていたはずのお母さんが、縁側に腰をおろして一休みしている。自分の左手を近づけたり、離したりして何かに夢中の様子だ。声をかけると、

「あのね、さっき鳥の巣を見つけたのよ。その中に、ほら!」

差し出した左手の中指に、ルビーの指輪がきらきら光った。

「お母さんが見つけたから、お母さんのものよ。」
って、ねえ、そういうの、あり?