しずく17.

川べりで夕涼みをしながら、T市名物の花火を見ていたら、Nちゃんが、あ、と叫んで駆け出した。

「いまの花火が、原っぱの方に落ちた」という。

全然そんなふうには見えなかったけれど、みんなで行ってみると、はたして、蛍色に光る小さな石がひとつ、モミの木の梢に引っ掛かっていた。