しずく18.

Uくんはもう何年も前から、春先になると、同じ夢を見る。

真夜中、風が吹く野原に立っていると、鉱石を積んだ汽車が太陽の東からきて、月の西に去ってゆくのだ。月明りの下で、汽車は白い煙を吐き、鉱石は青く輝いて見える。最後尾の車両が通り過ぎるとき、スコップをもった男の人が振り向いて笑う。懐かしくてUくんは幸せな気分になる。そうして目が覚める。

男の人は、Uくんの会ったことのないお父さんらしい。