蛍石の色について


ケイブ・イン・ロックの蛍石はたいへん美しい色をしていた。黄色、白、青、紫色などなど。こうした色の変化についてはいくつかの調査研究がある。大まかに言うと、それぞれの色の層には決まった順番があった。ほかの鉱物との共晶についても同様である。調査によれば、まず最初に出来たのは、方解石の菱面体結晶で、石灰岩が溶けた溶液から結晶が成長した。 ついで、黄色の蛍石が結晶した。黄色い蛍石はベーシックなもので、この地方の多くの鉱山で見出された。その上に、紫色の薄い蛍石が層を作ったが、地域によっては、紫色でなく、白色や青色の層が出来ることもあった。その上に再び黄色の蛍石の層が重なる。こうした順序は結晶の産状をよく観察することでそれと知れる。冒頭にあげた、黄金色の蛍石の結晶表面近くに紫色の斑があるというのは、こうした段階的な成長を反映しているのである。後を続けよう。

次に紫色の蛍石(初期)が結晶し、その上に、黄銅鉱、水晶、閃亜鉛鉱、方鉛鉱などが出来る。さらに(後期)紫蛍石がかぶさる。後期の紫蛍石は、その下にある初期紫蛍石の結晶方向に連なって、エピタキシャリーに結晶を成長させている。この上に瀝青、偏3角面方解石、重晶石、毒重石が加わる。これが原則的な共晶の階層構造である。

この地方の蛍石は、ほとんどの場合、驚くほど不純物が少なく、そのためよく澄んだ泉のように透明で、美しく色づいていた。カラーゾーンをつくることもしばしばあり、時には、瀝青のゾーンを含むこともあった。瀝青のゾーンは紫外線を照てると、よりはっきり観察することが出来る。ただしイリノイ産の蛍石自体は、通常は蛍光しない。


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