菅谷たたら山内

 

重文指定の菅谷高殿

 

所在地: 島根県雲南市吉田町吉田4210番地2
 TEL:0854−74−0350
アクセス: 未来館のページ参照。役場から県道を7キロほど北上。山内伝承館から徒歩五分。
開館時間: 午前9時〜午後5時  月曜休館(月曜祭日のときは、翌日) 
  入館料 310円 (山内伝承館もコミ)     

高殿は改修工事を終え、2014年11月30日から公開再開 
元小屋は改修工事を終え、2018年4月8日から公開再開
村下屋敷(三軒長屋)は改修工事を終え、2023年4月30日から公開  (2024年3月3日現在)

概  要: 全国で唯一、今に残る高殿(永代たたらを納める建物)を中心に、村下屋敷や助手たちの住んだ家が並び、かつての様子を彷彿させています。

菅谷高殿は、大正10年まで約2世紀に亘り、操業しました。現在高殿の中にあるたたら炉は、もちろん展示のために復元したもの(炉はケラを取り出す時、毎回壊すので)。
送風は水車動力によったらしく、フイゴはありません。

高殿の外には、ケラを水冷するための池や、水車動力を利用して巨大なケラを分割する大どう場があり、側に桂の木が植わっています。古来たたらを作った場所に植えたもので、このあたりには自生しません。山の中に桂があれば必ず近くに野だたらが見つかるそうです。

村下坂を下ると、道をはさんで元小屋があり、製鉄用具や、地元の小学生たちがたたら製鉄体験をしたときに書いた絵などが展示してあります。

感  想: 山内伝承館から、お爺さんが案内してくれ、懇切丁寧に説明をしてくれました。子供の頃は、炉のホド穴に差し込む木呂(きろ)で遊んだりしたそうで、いろいろ興味深いお話が聴けました。高殿の中は、金屋子神の祭壇を祀った押立柱の後ろに2種の砂鉄置き場、両側に村下座と裏村下座、天井には洗濯板方式の通風装置などなど、やはり実物を見ながらだと、実感もこもります。
筆者も図に乗ってやたらと質問したので、お別れしたときは、閉館時間をとうに過ぎていましたが、一向気にする風もなく、にこにこ相手をしてくれたので、うれしかったです。

桂の木は、鉄師が祀った金屋子神に縁の木ですが、「実もならず、花も咲かないのに、どうして祀ったのかなあ」と言ってたのが印象的でした。春先には、きれいな桃色の芽が芽吹き、木全体がピンク色に染まってみえるそうなので、訪問するにはこの時期がいいかもしれません。

元小屋にある子供たちの絵に関して、「よっぽど炎の印象が強かったのか、みんな大きな炎の絵を書いてますよ」とコメントしてくれました。筆者が本で読んだり、映画を見た限りでも、たたら炉は、赤や紫や緑や、なんともいえない神秘的な色合いの炎が立ち、刻々と移ろうて、それはそれはきれいなようです。見たいなあ。 (2000年)

次のページへ