32.カバンシ石   Cavansite    (インド産)

 

 

Cavansite カバンシ石

カバンシ石−インド、プーナ、ワゴーリ産

 

Cavansite (カバンシ石)は、その組成 Ca(V+4O)Si4O10・H2Oのうち、Ca-V-Si:カルシウム−バナジウム−シリカに因んで命名された。鉱物名を成分に求める例は昔から数多く、和名でもしばしば採用されているのはご承知の通り。けれども、3つ以上の元素「記号」を織り交ぜて狙い通りの名前を創造するのはなかなか難しく、それなりのセンスが要求される。

Asbecasite (アスベカス石、1966年)は、Ca3Be2Si2(TiSn)(AsO3)6O2 に因んで、Babefphite (バベフ石、1966)は、BaBe(PO4)Fに拠って、Vanalite (ヴァナル石、1962)は、NaAl8V10O38・30H2O から、Silinaite (シリナ石、1991)は、NaLiSi2O5・2H2Oをもじってといった具合だが、歴史年号の語呂合わせと同く、由来を知らないと元になった成分を類推するのは難しい。

日本では堀秀道氏の発見にかかる Stronalsite (ストロナルシ石、1987)が、SrNa2Al4Si4O16 に由来することで有名。この石は Banalsite (バナルシ石、1944)の類縁鉱物で、バナルシ石もまた、BaNa2Al4Si4O16 に縁っている。パズルみたいで面白い。

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