No.4 ムンバイ(ボンベイ) その1

 

日、没するところなき大英帝国。その夢の国インドの玄関だった植民都市。かつて、野望にあふれる若者たちは長い航海の末、ムンバイの入り江に立つ石造の門に迎えられてこの地に赴任した。そして任期を終えた彼らが、ポロ競技とトラ狩りの華麗な思い出を胸に、別れのハンカチを振ったのもまた、このインド門でのことだった。

若い日の私が、明日はインドを去るという夜、ああこれで青春は終わった、と感傷に耽った門。しかし、幸いにも(?)私は間違っていた。人生はいつまでも続く旅らしい。


植民地時代の雰囲気を残すムンバイ南部の広場。
インドのあちこちで見かける羽子板野球(?)は
ここでも盛んだ。背景の建物は裁判所、だったかな?

インド中から食い詰めた人々が集まってくる大都会ムンバイ。高層ビルの立ち並ぶ一角を過ぎると、急にくすんだ色彩のごみごみした雰囲気になる。これは、洗濯場の風景。左に見える仕切りのひとつひとつを借りて、業者たちが集めた衣類を水洗いする。右の屋根の下で、女たちがアイロンをかける。朝出して夕方には仕上げてくれる。値段はとても安い。

ムンバイ(インド第一の都市)の比較的豊かな中流インテリ層が住む程度の良いアパート。値段は3〜4000万円くらい。因みに一戸建てだとすぐ1億円近くなるので、大金持ちでないと買うのは大変。このアパートのすぐ向かいの川辺にはテントを張って住んでいる人たちがいて、電線から勝手に電気を引いてテレビを見ている。なんだか不思議。

アパートに住んでいるブラーマ(バラモン)階級の方の台所の奥に祀られた神様。インド人は敬虔な方が多く、それぞれの家ごとに守り神さまを持って大切にしている。ちなみに家の中で台所は女性の聖域といった観念があって、勝手に入ったりしてはいけないらしい。なにしろ神様をお祀りしている場所だから。

インドのお金持ちの生活は、とても豪奢だ。現地駐在の商社の方のお話では、毎晩パーティーで宵っ張りらしい。顔だけでも出さないと失礼にあたるので、2つ3つの掛け持ちもザラだとか。

写真は、高級ホテルのロビーで見かけた上流家庭の子供達。すっかりおめかししてパーティーにお出ましのところ。ちなみにパーティーの席で子供を誉めるときは注意が必要だ。特に女の子の父親は将来の良縁を探すのに非常に真剣だから(インドでは結婚の99%はお見合いで、恋愛は映画の中だけ)、うっかり写真が欲しいとか言うと、あとで大変な目にあう。

 

ムンバイ その2


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