419.ローディス石 Rhodizite (マダガスカル産)

 

 

Rhodizite

ローディス石 -マダガスカル、Fianarantsoa、Antandrokomby産
(撮影 ニコちゃん)

 

ローディス石またはローディズ石。
(K,Cs)Al4Be4(B,Be)12O28  という組成式が示すように、セシウムやベリリウムを含む鉱物ゆえ、希産の部類に入る。マダガスカル以外ではロシア・ウラル地方、イギリス、USA・ウィスコンシン州に産地があるが、いずれも産出は少ない。マダガスカル島では、この島の鉱物に関する先駆的な研究者ラクロワの著書(1922年)に Antandrokomby と Manjaka とが記載されている。ほかにもいくつか産地が見つかったが、採集された標本は数少なかった。
20世紀の終わり、後にペツォッタ石(ラズベリル)の研究で有名になるペツォッタ博士らは、ローディス石を探して精力的なフィールドワークを行い、かつて記載された産地のうち3ケ所から標本を採集した。そして、さらに新たに6つの産地を探し出したのだった。

この発見は一躍市場の注目を浴びた。というのも、博士らが各産地の典型的なサンプルを分析していくと、カリウムよりもセシウムの量が上回るケースが見つかり、2000年に新鉱物ロンドン石として記載されたからだ。
ロンドン石は、特にセシウムの濃集が顕著な地点に産するが、ローディス石との肉眼的な区別はつけられない。というか、結晶中にセシウムリッチな領域とカリウムリッチな領域が同時に存在することもあるので、中間的な石を区別することにあまり意味がないのである。
これらは淡黄色に色づき、硬度が8〜8.5と高く、金剛光沢があるため、透明なものはコレクター向けのレア・ジェムとしてカットされている。

上の標本の産地名は、ラクロワが記載し、ペツォッタ博士らがこの石を再発見した地名に一致するが、おそらくはその北西150mの地点に新たに発見された岩脈から出たものではないかと(勝手に)思う。産状は両者ほとんど変わりない。

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