◆水晶ギャラリー 5 |
ギリシャ名物の緑色水晶。緑閃石が入っているためだが、水晶の下部にはその結晶がびっしり。緑色になるわけだ。(この緑色鉱物は、灰鉄輝石(Hedenbergite)とも言われて文献にも記載されているが、上の標本を買ったお店は緑閃石としているのでそれに従う。この産地では実際に緑閃石も出ている。)
セリフォス島については No.244 参照。島の南西部にあるスカルン露頭からの標本が市場に大量に出回ったのは 1980年代後半のことで、採集者は名物標本商G.ゴーチェと、ニコラウス・アルバンダキスのコンビだった。同じ頃、港町コウンドウロの山の手ではアーティチョーク形のミルキー・クオーツが多産していた。
90年代末頃からはアビサロス付近の晶洞に出る標本が出回るようになった。採集者はピエールとマルチナ・クラベル夫妻。本品は 2002年に美晶を産した時のもので、No.244の同地産アンドラダイトと一緒に入手した。
島の水晶は一般に柱面がゆるやかにすぼまってゆく形をしており、特に先端付近で強いカーブを持つ。そのため錐面(菱面体面)が発達せず不明瞭で、時に小さな頂点を持つ複数の針状に分裂していることもある。