No.12 イスタンブール その1
「東は東、西は西」と言ったのはキプリングで、
西洋と東洋の文化の異質さ、相容れなさを
端的に表現した名句とされている。
「太陽の東、月の西」と言ったのは野田幹子で(冗談だよ)、
遠い異国への憧れを歌の翼に乗せて送った。
イスタンブールは、学生の頃の憧れの地。
西洋と東洋が出会い、融合する場所と習って
強く惹かれていた。
春の朝早く、夜行バスはボスフォラス大橋を
渡って、イスタンブール郊外に着いた。
寒いし、お腹すくし、お店開いてないし…
ふらふら歩いていると、お日さまが昇ってきた。
羊の群れに逢った。スプレーで色をつけてあるのが
サイケで変だった。後で知ったが、所有者のマークだ。
いろんな人の羊を、羊飼いがまとめて面倒見るらしい。
背後の崩れた土壁は、旧市を囲む城壁。
市街に入る。ローマ式の古い水道橋が壮観。
食堂を見つけて、朝ご飯を食べた。
言葉一切通じず、身振りで注文する。
(トルコ語わからんけ)
お勘定は、コインを手のひらに載せて、
いるだけとってもらった。
尖塔のそそりたつイスラミックな寺院。
これよ、これ。
自分のイメージにあったイスタンブールは。
(いつか写真で見たブルー・モスク)
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