No.17 クウェート  (その1)

 

中近東ならば、イラン、イラクやアフガニスタンの古い都市、
レバノンやイスラエル、あるいは紅海上のセント・ジョン島など、
行ってみたいところはいくつもある。
が、クウェートに行きたいと思ったことはなかったし、
また行く機会が実際に巡ってくるとも知らなんだ。

サガプリヤの本に「買い物かごの瞑想」というのがあって
感心することしきりだが、同じ伝で、誰かが私のかごに
クウェートを入れてくれるなら、ありがたくお受けするにはやぶさかでない。
というわけで、クウェートの春と夏と秋と冬とをそれぞれ味わった。
もっとも、日本みたいにくっきりした四季があるわけではないのだが。

 

クウェートタワー

タワーからの展望(タワーはガルフに面して樹っている)

タワーからの展望(市街中心部)

クウェートは砂漠の中の町である。
ドバイ発のエミレーツ航空機が降下態勢に入ると、
見えてくるのは黄色っぽい砂色の砂漠で、
ところどころ黒い丸い池があるのは
原油かアスファルトの溜まりか。
果てなき砂と岩の平らな大地の上に
コンクリートとアスファルトの薄膜を載せた一角が見える。
クウェート市である。
近代文明によって初めて築き上げられた荒野の集落、
車と電気とエアコンと、なにより産油の富とによって
はじめて維持してゆくことが可能な近代都市、
それがこの町の印象。

市街の通り

市街の通り

ビルの壁という壁は、白か白茶色かクリーム色に
デザインされている。なぜもっとカラフルにしない?
という疑問は数日の滞在で霧散する。
大気をスープのように満たす砂ぼこりのフィルムが、
すぐにあらゆるものを砂色に覆ってゆくからである。

市街の通り 
(舗装されていない空き地はどこも固い砂地だ)

砂漠はからからに乾燥していて暑いもの。
のはずだが、湾岸(ガルフ)に位置するこの町は
海からのぼる湿気のためにかなり蒸す。
日陰に入っても、涼しい感じはない。
一方、夏の直射日光の下にいると、
15分で体調がおかしくなってしまう。
私の肌はこの気候には白すぎるのだし
(とパートナーのアメリカ人(黒人)に言われた)、
だいいち日向の気温、ぜったい50度を超えてるぜ。

  たまさかのお湿りに咲く路傍の花

マーガレットとたんぽぽ …に似ている

冬場、天気予報で毎日雨マークが続くときがある。
でも、雨なんて降らない。
たしかに霧吹きの水が
肌を軽く撫ぜるような感触はあるのだが、
地面が濡れ色になることはめったにないのだ。
それにしても砂漠の空一面を、ぼけた雲が
覆っているのは妙な感じ。

町で使われる水は、海水から精製される。

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