38.リチア電気石<青> Paraiba Tourmaline (ブラジル産)

 

 

私は1989年に、ひとつの鉱山だけから産出した、幻の石です。

リチア電気石(パライバ) −ブラジル、パライバ州産

パライパ系の含銅ブルートルマリン 
−ドス・キントス鉱山、リオ・グランデ・ド・ノルテ、ブラジル産

 

パライバと呼ばれた、青いネオン色をした類まれな宝石が市場に出ていたとき、私はその値打ちを知らなかった。デパートの店員さんが随分勧めてくれたけど、もともと何十万円も出して宝石を集める気持ちがなかったので、結局見送ってしまった。

いまや、パライバは幻の石である。当時のような大粒のカット石は、もはや一般の市場には現われない。鉱物標本は、あとでどんな悔しい思いをすることになろうとも、欲しいと思ったときに、無理をしてでも手に入れておくべきものである。

ついでにいうなら、それがなんであれ、人は自分のしたいことをするべきである。
クリシュナムルティは、「愛し、そして自らの欲するところを行えば、悲しみはない。」と教えている。

追記:パライバの鉱山が再び開かれ、大規模な採掘が始まっているそうだ。フラグメンツ1も参考。2002.2
追記2:2014年10月頃、ブラジル、パレリアスでも再びパライバトルマリンの鉱脈に当たったという。
追記3:パライバ・トルマリンは1989年のブラジルでの発見以来、Elbaite 種(エルバアイト/リチア電気石)と考えられており、モザンビークやナイジェリアからも「パライバ・タイプ」の宝石(Elbaite種)が出回っている。G&G誌 2017年春号は、「パライバ・タイプ」のルースの中に Liddicoatite 種(リディコート電気石)のものがあることを定性分析によって示している。これらの試料の産地は不詳とのこと。
ちなみに、含有される微量の鉛、ガリウムの比を2次元グラフにプロットすると、ブラジル産、モザンビーク産、ナイジェリア産、及び「産地不詳」の試料は綺麗に分離されるようだ。
なお別クチの情報ではリディコートタイプのパライバはモザンビーク産だが、エルバイトタイプの産地 Alto Ligonha ペグマタイトから10km ほど離れたマラカ村付近の鉱山に産するという。(2020.6.14)

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