39.リチア電気石<紅、緑>  Tourmaline  (ブラジル産)

 

 

同じリチア電気石でも、いろんな色の兄弟たちがいます。

リチア電気石(トルマリン) −ブラジル、ミナス・ゼラエス州産

 

現在市場に「商品」として流れている標本の多くは、とてもとてもきれいである。そればかり見ていると、ほんとうにこんなきれいな物が、地中に埋もれているのだと思ってしまう。けれども自分で鉱物採集をする人は、いつも泥やら粘土にまみれた鉱物を見慣れているので、これらの「商品」がかえって、うそ臭く思えるだろう。実際には、店頭の標本は、酸やアルカリの薬液につけてクリーニングしてあるのだ。

電気石の場合、きわめて危険なある種の劇薬を使うと、表面が素晴らしく輝き出すという。その調合はいわゆる「企業秘密」というやつだが、ひとつ間違うと、標本を台無しにしてしまうおそれもあるそうだ。標本商は、泥をかぶって薄汚れた石ころを、美しい宝物に変える、錬金術師なのである。(そうあってほしい。)

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