761.あられ石 Aragonite (ギリシャ産) |
メーテルリンクが、「プラトン、スウェーデンボルグまたはプロティノスがもし存在したことがなかったとしたら、(人々の魂は、あるいは、)彼らの著書を読んだことも聞いたこともない農夫の魂(であっても)は、こんにちまぎれもなく左様である状態とは違っているだろう」と言うとき、私はこれを鉱物標本に掛けて言い直してみたい。もし鉱物に魅かれる人が存在したことがなかったとしたら、と。
「じっさい自分の魂に問いかけ、その魂を取り巻いている無益な雑音のただ中で、自分の魂の小さな、子供っぽい声を聴き取ることは容易な仕事ではない。…だが、魂の場所に、われわれの存在の唯一の確定的極点があり、生の場そのものが在る。絶えずその場に入り込むことが必要である。」
「魂を感じさせるものを探求しなければならない。これが大切なことだ。なぜなら、そこにわれわれ人間の実存の場がある。」
「魂は、思いがけなく突如と来た密使に、人間の合掌の両手を示すだろう。名づけようすらない夢に充ちているときの、人間の眼を示すだろう。何の言葉をも出すことのできないときの、人間の唇を示すだろう。そしてもしもその密使が、理解する力を持っているばあいには、敢えてそれ以上何ごとも問い質すことはしないだろう…」 (「貧者の宝」より)