788.さんご Jasperized Coral (USA産)

 

 

Jasperized Coral

サンゴの化石 -USA、ジョージア州産

 

今日の鉱物の定義は、その石が純粋に地球化学的に生成されたことを条件に含むのが一般的である。化石のような、生物化学的起源を持つ物質が鉱化作用を受けて生じた石は、その視点からは鉱物と呼ばれない。ショーなどで鉱物・化石(Mineral・Fossil)と併記される所以である。
しかしもともと両者の間は必ずしも区別がなく、Fossil は地下に埋まっているさまざまな物体を総称する言葉としてあった。因みにアグリコラの De Natura Fossilium (発掘物の本性について/ 1546年)は鉱物書である。
また、今日の鉱物愛好家にしても、その蒐集対象は鉱物の定義境界を越えて化石や(コハクのような)有機物、(ガラスのような)非晶質物の領域に跨ることしばしばであろう。

この標本は、宝石業界でジャスパーライズド・コーラル(珪化珊瑚)と称される化石。珊瑚の死骸に珪酸が浸透して石化したもので、酸化鉄の沈着によって赤色を呈し、珊瑚骨格の模様と相俟って、無機結晶とは違った独特の美観を具えている。もとは石炭紀に生息した四射サンゴの類で、シュードザフレントイデスと呼ばれる種。四射サンゴはすでに絶滅種だそうだ。

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