857.ソーダ鉄ミョウバン石 Natrojarosite (USA産) |
「ミョウバン」の一種で、鉄ミョウバン石の仲間、ただしカリウムよりナトリウム(ソーダ)を多く含むもの、といえる。鉄ミョウバン石と曹達鉄ミョウバン石とは成分を分析しない限り、肉眼ではほぼ区別がつかない。カリウムを含まない端成分のソーダ鉄ミョウバン石は、実験で合成することは出来るが、天然には知られていない。端成分に近い組成の両者は比較的低温(<100℃)環境で生成するとみられ、No.856の産地アペックス鉱山には両種が繰り返し層状に重なったものが産する(このことから環境によっては組成連続的な生成が行われ得ないとみられる)。ちなみにカリミョウバンは白色系だが鉄ミョウバン石は褐色系で、いかにも鉄分を含んでいる観がある(そう思うとカリミョウバンの色はアルミナっぽい)。
本鉱はネバダ州ソーダ・スプリング・ヴァレー(ソーダ泉谷)に産したものが 1902年に報告されたのが初め。自形結晶標本は比較的珍しいとされる。が、まあ、あるところにはあるだろうと思う。標本は90年代に標本商 D.シャノン氏から購ったもので、おそらく氏の自採品と思われる。