1039.ラティス水晶2  Lattice Quartz  (ナミビア産)

 

 

ラティス・クオーツ(ジッター・クオーツ)
−ナミビア、エロンゴ山産

上の画像に水晶の柱軸のおよその交差角を
オーバーレイした図
b, m は母岩の長石の面記号
交差面が画面に対して傾いているので、
交差角は見かけの印象と少し違っている。
基本的に長石の面に対する水晶の柱軸の方向は
 No.1038で説明したと同じ傾向を示す

最初の画像に対して標本を背後からみたもの
多くの結晶の柱軸方向が揃っており、
かつ反射光を与えると同じ幾何配置の錐面が同時に光って見える。

上の画像の水晶の柱軸方向を矢印で示す。
赤色は共通の交差格子を形成するもの
水色は赤色の格子とは異なる方向を向くもの
後者はサイズが小さい。

よく観察すると周囲の多くの結晶とは
別の柱軸方向で生えた結晶もあるが、
ある錐面に反射光を与えると、
周囲の結晶の錐面も同時に光る傾向がある。

上の画像に見える水晶のいくつかを標識。
水色 1〜6の結晶は画面手前に向かって伸び、
柱軸が揃っている。 1〜5は矢印が指す柱面が平行で、
かつ同じ平面上に並んで見える。
6は一つだけ外れているが、その柱面は1〜5の
対応する柱面と平行。(従って6矢印の面は 120°の配置)
赤色 a〜d の結晶はほぼ画面上に伸びて
互いの柱軸方向が一致している。
従って水色標識の結晶と赤色標識の結晶とは
同じ交差角で交わって格子をなす。
正面に見えている長石の面は m面、
左側に明るく見えているのは b面。
右下に比較的大きめの L字交差の水晶ペアが
見えているが、これらは(正面とは別の) m面上に
載っており、b面に対して正確に垂直でなく、
やや画面奥に向かって倒れている。

 

No.1038と同じ産地のラティス水晶をもう一点。
N.1038の標本は水晶の外部で黒色柱状のショール(鉄電気石)が共存しているが、こちらは何故か水晶の内部(それも根元付近)だけに含まれている。長石の結晶面(b面)に対する水晶の柱軸の伸長方向は No.1038で説明したのとほぼ同じ傾向を示す。 b面上の水晶が比較的よく発達しているので、格子の形が把握しやすい。格子方向を矢印で画像にオーバーレイして示した。

なお、比較的微小な水晶(※4枚目の画像で水色矢印標識したもの)は、必ずしも格子(※同じく赤色矢印標識したもの)と同じ方向を向いていないことが見て取れる。これらは@格子水晶より遅れて成長が始まったから小さいのか、A長石の結晶面と接触していないのでエピタキシャルな方位誘導が起こらなかったのか、それとも別のエピタキシーに従っているのか、Bあるいは格子をなす水晶は日本式双晶と同様に、単晶よりも有利な成長条件(凹入角効果)を持っているので巨大化しやすいのか。
興味深いところである。

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