97.硫カドミウム鉱  Greenockite   (チェコ産)

 

 

なんだか、キャラメルソースが固まったみたい?

硫カドミウム鉱 −チェコ、カタリナ産
(顕微鏡下で撮影)

ちょっと大風呂敷を。

人類が金属の利用を始めてしばらく経つと、金属と金属との隙間に、融点の低い別の金属を流し込んで接合する技法が発明された。ろう付けと呼ばれるもので、かなり古くから知られていたらしい。ろう材としては、金ろう、銀ろう、燐銅ろうなどがあり、ハンダもその一種である。ろう付けの不思議なところは、異種の金属を混ぜ合わせることで、単体のときよりも融点が低くなることだ。
古代オリエント世界(エジプトやイラン、イラクあたり)では、BC15世紀頃から金に銀や銅を混ぜただけの金ろうが用いられていたが、紀元以降には、さらにカドミウムと銅を練り合わせた薬を人工的に添加するようになった。こうすると融点がかなり下がるのである。どうしてカドミウムに気づいたのか判らないが、金銀の屑をルツボに入れて溶かした中に、本鉱や孔雀石を粉末にして加えたものらしい。

硫カドミウム鉱は、産出の少ない鉱物だが、カドミウムイエローの綺麗な色をしているので、昔からよく知られていたのだろう。岩絵の具の原料にもなったようだ。

たいていパウダー状で見つかり、写真のように結晶することは、ほとんどない。実際のところ、この標本にしても、もともと粉末状だったものが、鉱山火災によって溶けたあと、冷却の過程で結晶したものとみられている。尋常の産物じゃあないのである。

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