116.蛍 石 Fluorite (ロシア産) |
「ダルネゴルスクの緑色の蛍石」を知ったのは、東西冷戦時代に書かれた本を読んだのが最初だった。本の中でこの蛍石は伝説の美品として扱われていた。しかし写真がついておらず、その実体は杳として掴めなかった。
やがてゴルバチョフ氏が、ソビエトの呪縛を解き放つと、大量の蛍石がダルネゴルスクから入ってきた。しかし緑色のものはいずれも融蝕が激しく、これが喝采を博したとは思えなかった。むしろ、無色透明なものの方に優品があった。
2年前、この標本に出会って、やっと名声の片鱗に触れた気がした。写真では大したことないように見えるだろうし、実際内部が濁ってもいるが、伝説の木霊のかけらの残り香くらいは漂ってこないだろうか?
実にきっちりした結晶であり、なおかつ結晶の稜線に微妙なカーブがあって美しい。そう。古き言い伝えはまことであった…。
(こういう感想って、やっぱり親バカ?)