131.自然金 Native Gold (オーストラリア産) |
オーストラリア、クイーンズランド州南東部にあるギンピー地区は、かつて高純度の金を産出する鉱山として有名だった。1870年から1924年にかけて、約120トンの金が採掘されたという。グラム1000円として、一体いくらになるか計算してみるといい。
当時、この鉱山の地下には、石英の中に美しい山吹色の脈が走る「ジュエラーズ・ショップ」(宝石職人の仕事場)と呼ばれるエリアがあった。そこで採れる金の脈石を磨いて、さまざまな宝飾品が作られたという。
ギンピー地区は1995年に統合され、最新の技術を駆使したモダンな鉱山に生まれ変わった。
長い間伝説となっていた「ジュエラーズ・ショップ」も再発見された。以来、脈石を加工した指輪やペンダントトップ、カフリンクスなどが市場に出ている。網目模様の金が白い母岩に映えて、実にステキなものだ。
写真の標本は、白濁した水晶の合間を縫うように、スポンジ状の金がまとわりついたもの。左側上部が、妙に一直線に見えるのは、採集するとき、カッターで切断してしまったためだ。私たちコレクターには、もったいないと思えるが、鉱山側としては、磨いて使うのが前提だから、一向頓着しないのだろう。もっともハンマーで割っていたら、水晶はバラバラに散っていたはずで、その辺の功罪はなかなか判断が難しい。
補記:イギリスやロシアが保有していた金地金を放出したため大きく下落した相場は、その後回復し、さらに価格を上げ続けて、2020年にはグラム 6,000円を記録した。こわいねー。(2023年8月時点で 9,800円を超えている。)
補記2:参考画像。ギンピー・ゴールド社のちらしより、研磨片を使った装身具の例。