172.サハロフ鉱 Sakharovaite (ボリビア産) |
ぱいらいと〜 惹かれて買ったら サハロフ鉱〜
というわけで、黄鉄鉱の八面体結晶にぐっときて手に取ったら、サハロフ鉱という未知の鉱物がくっついていた、いや実はこちらが主体の標本だったのじゃ(前にもこんなこと書いたのう)。
で、サハロフ鉱であるが、鉛(一部鉄)−ビスマス(一部アンチモン)−硫黄の化合物で、針状結晶、ロシアの鉱物学者マリナ・S・サハローヴァに因み1955年命名、という以外わからないのでおじゃる。とほほ、電ボよ… (2002)
補記:サハロフ鉱については依然、めぼしい情報に行き当たらない。マリア・セルゲーブナ・サハローヴァ(1917-1998)は生涯をほぼ鉱物学者として生きた女性で、金・銀鉱床の形成プロセス研究の権威だった。トランスバイカル地方や極東地方の鉱産資源開発に携わって多大な功績を上げた。ビスマスを含む毛鉱類似の鉱物を、組成
Pb(Sb,Bi)2S4、ビスマス毛鉱 bismuth-jamesonite
として 1955年に報告した。アンチモンとビスマスとの比率はほぼ1:1。1959年にブルガリア科学アカデミーのイワン・コストフがこれを新鉱物と判断してサハロフ鉱
Sakharovite
の名を提案した。ただ新しいデータは示されなかった。
その後、毛鉱
Jamesonite (1820年 as Gray Antimony by Jameson)
の外観を持ち、かつビスマスを含むものが、この名で呼ばれてきたのであるが、IMA
の記載種名になっておらず、ネットで調べると 2012年の廃名リストの中に含まれている。とりあえず現時点では含蒼鉛毛鉱と考えておけばいいのか(毛鉱の亜種であるかどうかもよく分からないのだが)。
ちなみに毛鉱の組成は Pb4FeSb6S14 だが、かつて鉄は必須とみられず、鉛とアンチモンの硫化物とされていた。
(2019.7.4)