C8.ブラックヒルズ・ゴールド (USA産)

 

 

USA、SD、ブラックヒルズ産の金を使った彫金細工
(外周のぶどうの葉が、帯緑色の金)

 

10年ほど前、知人のお嬢さんがアメリカのサウスダコタ州(SD)にホームステイ留学された時、お世話になったお家の方から記念に金のピアスを贈られた。それは緑色と金色と赤銅色の3色の金(10K)でぶどうをデザインした、可愛らしい彫金細工だった。金とぶどうで名高いSDならではの贈り物だ。
「ブラックヒルズ・ゴールド」は、その頃地元のティーンエイジャーの間で、気取らないアクセサリーとして人気の的だったそうで、お嬢さんは日本の家族のためにもいくつか求めて帰国された。
そのお土産を拝見したのが、私がこのブランドを知った始まり。緑色の金は世界でも珍しく、SDのブラックヒルズでしか採れないのだと教えてもらったが、その通りかどうか分からない。でも、おかげで翌年(だったと思うが)の鉱物ショーで一品を目に留めることとなり、ブラックヒルズの金はふいに近しいものになった。

SDは、映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」でインディアンたちがバッファローを追いかけていた土地だ。1870年代、白人たちはこの地に金鉱を発見した。歴史の歯車が大きな音を立てて回った。→ブラックヒルズのゴールドラッシュ

補記:ブラックヒルズにゴールドラッシュが始まって2年後の1876年、フランスからとある男が一旗上げようとやってきた。彼は金を探して森の中を何日もさまよったあげく、とうとう空腹のあまり行き倒れてしまった。そのまま死んでしまうかと思ったとき、倒れた顔の前に葡萄があった。驚いて見まわすとあたりは野生の葡萄がたわわに茂っていたのだった。彼はぶどうを食べてどうにか町に戻り、その後、金細工師として成功した。そして、自分が作るゴールドジュエリーにはいつもぶどうのデザインを入れようと決心したのだった…。

追記:興醒めな話になってしまうが、「ブラックヒルズ・ゴールド」ブランドに用いられている金は、別にブラックヒルズのホームステイク鉱山で採れた金ではないそうである。トレードマークの緑やピンク味を帯びた色は、他の金属を混ぜて作る合金の色なのだという。

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