C4.緑玉髄の猿猴  Chrysoprase    (香港製)

 

 

この月は 我が愛しと思う月 かくありたしと願う望月  

クリソプレーズのエンコウ(カワウソ?)

 

猿猴(えんこう)は、中国の空想上の動物で、川に棲む、毛の長い猿に似た生き物である。水に映った月を愛しいと思い、獲ろうとして溺れた風流な故事があり、屏風絵や掛け軸の画題に好んで採り上げられる。「猿猴が月」、「猿猴月を取る」という。仏説中の彼は、浮世の浅はかな欲望を追う人間を象徴しているのだが、美しいものを慕う気持ちと真理を求める気持ちはひとつであろう。彼を嘲う知性こそ猿智恵というものだ。

日本では猿猴は河童の別名になっており、四万十川をモデルにした斎藤敦夫の作品「ガンバとカワウソの冒険」にも河童を想わせるキャラクターで登場する。しかし本来の猿猴は、むしろカワウソに近い生き物だったようだ。濡れてきらきら光りながら、月夜の川に遊ぶ姿を想うと、なんとも優雅な心地がする。

クリソプレーズ(緑玉髄)に彫られた君も、やはり月を狙っているのだろうか?

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