221.翡 翠 Jadeite (ミャンマー産) |
雲南省の大理で手に入れたお気に入りの翡翠である。白地に翡色と翠色がほどよく混じっている。店主の白族の女性は、これが本当の翡翠だと言っていた。白い部分は白族を表し、翡と翠が共にあるものは貴重で、現地の人々が是非お守りにしたいと望む石である、と。
彼女は頬に石をあて、「私たちはこうして石を肌になじませます。そうすると翠色がより鮮やかになってゆきます。翡翠は身につける人と一緒に育つのです」と教えてくれた。
私はこの石に「13匹の仔豚」という名前をつけた。雲南では昔から豚は豊かな財産の象徴だったし、神々の加護を祈る捧げ物でもあったから。麗江に住む納西(ナシ)族の、トンパ象形文字で書かれた経典「吉本布」(祭天古歌−雷神電神祭)に、「私たち一家は子々孫々栄える 私たちは豊かに幸せになるだろう いつまでも元気で長生きするだろう それはみんな雷神が守ってくださるおかげだ お祭りのために四つ足の白く美しい豚の脂肉をもて お祭りのために四つ足の白く美しい豚の赤身の肉をもて 私たちは先ずそれをそのまま雷神に捧げよう」という一節があるくらいだ。なんて美味しそうなんでしょ。
で、何故13匹かというと、大理ではこの石1個で仔豚が13匹買えるからである。
追記:大理では白族の方のお家を見せていただいた。お住いのおばあさんが、透きとおった淡緑色の、いい感じのひすいの腕輪をされていた。この辺りの裕福な方は皆、お守りとしてひすいを身につけているとのこと。思わず眼が釘付けになり、はずして見せてもらえるかお願いしてみたが、残念ながら不可。
というのは、子供の時からつけていて、大人になって手が大きくなるとはずせないから。寝ているときも、起きているときも、何をしていても、いつもひすいと一緒。このおばあさんも言っていたが、ひすいは身につけているうちにだんだん透きとおってくるそうだ。