252.擬トルコ石 Ceruleite (チリ産) |
この石はたぶん、標本コレクターよりもラピダリストの間でよく知られていると思う。
トルコ石の鮮やかな青を、灰にまぶしてくすませたような、ソフトな空色の石。80年代頃からラピダリー(宝石や貴石を自分で磨いて楽しむ趣味)の素材として重宝されているそうだ。硬度は5〜6でトルコ石並だが、やや粘土ライクでもろい傾向があり、普通は樹脂含浸させた後で磨かれる。
セルレアイト(チェルレ石)の名は、絵の具のセルリアン・ブルーと同じく、Coeruleus-空の青色に因む。天青石(Celestine)の語源、Coelestis-天の青色とどう違う?
和名は色や産状がトルコ石に似ていることから案出した(擬孔雀石に倣った)そうだが、
トルコ石 −CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O、
擬トルコ石−Cu2Al7(AsO4)4(OH)13・12H2O
だから、成分や結晶構造にも似たところがあって、うまく名づけたものである。
標本中の淡い緑色の部分は Schlossmacherite、暗い緑色は Chenevixite 。いや、言ってみただけ。