309.ベラウン石 Beraunite (USA産) |
No.308に続き、ゴードン氏より下しおかれた標本。
やはり鉄の燐酸塩鉱物で、ペグマタイト中のトリフィル石から変成したり、鉄鉱床に二次生成したりする。この産地では褐鉄鉱を母岩に微小ながら濃い赤みを帯びたニートな結晶形を見せている。
組成式は Fe2+Fe3+5(PO4)4(OH)5・4H2O
。酸化度の異なる2種の鉄イオンを含んでおり、二次生成の際、酸化が必ずしも十分でなかったことを示している。多分、もう少し頑張ると(?)ストレング石に進化するのであろう。2種のイオンは構造上、互換性のない異なるポジションを占めており、ためにベラウン石の産出は比較的珍しいものとなっている。
実のところ、いただくまで、こんな鉱物があることを知らなかった私だが、今でもそのなんたるかをほとんど分かっていない。原産地はチェコのベラウンにあるウルベク鉱山で、ブライトハウプトによって
1841年に記載された。
本鉱の酸化物に Oxiberaunite
があり、これは独立種になるのではないかと言われている。こちらはドイツ、ヘッセン州のエレオノール鉱山に産したもので、かつてエレオノール石と呼ばれていた。
追記:mindat を引くと上の話は逆で、もともと Oxiberaunite と呼ばれていたが、2015年 IMA に承認されて、独立種 Eleonorite の名で記載された。