343.コバルト方解石 Cobaltoan Calcite (コンゴ産) |
No.342の含コバルト苦灰石に対して、こちらは方解石。どちらもコバルトによる発色だが、方解石の方は淡めで穏やかなピンク色を呈することが多い。本地産の結晶は時に数センチの大きさに成長する。
発色に必要なコバルトの含有量はきわめて微量で、トレーサーレベル(痕跡量)でも綺麗なピンクに色づくという。
カタンガ地方には、西端をコルウェジKolwezi、中ほど Likasi、東端をLubumbashi
で結ぶ幅50キロ、長さ250キロほどのエリアに、豊かな銅、コバルトの酸化/硫化層状鉱床が横たわっている。下弦の月形をしているので、カタンガ・クレセントと呼ばれる。
この地でコバルトが採鉱され始めたのは20世紀の初頭。銅鉱精錬の副産物としてコバルトが得られ、70年代には世界でもトップクラスの供給地であった。推定埋蔵量は60万トン。今でも有数の鉱床と考えられている。
上の標本は銅の二次鉱物である孔雀石を伴っている。カタンガの孔雀石
Cu2(CO3)(OH)2 はしばしば多量のコバルトを含むことで知られるが、特に西部のコルウェジ近辺では20%を越えることがある。銅:コバルトの比が2:1程度になると別種、コルウェジ石
(Cu,Co)2(CO3)(OH)2 として扱われる。
ちなみに、No.342の標本の産地カカンダ鉱区は、Likashi
北西約50キロの鉱山。