360.菱亜鉛鉱 Smithsonite (メキシコ産) |
いまさらだけど、鉱物標本を撮る時、実物より少し大きめのサイズに仕上げると、フォトジェニックな表情を見せてくれるが、一方、大きな標本を小さな画像にすると、どうもイケないことに気がついた。
このサイトは「ダイヤルアップ接続でストレスが少ないこと」、「モニターピクセルレンジ800X600で閲覧出来ること」等々を目標にしているので、基本的に画像幅を300に合わせている(初めのうちはテキトーだったが)。大きくしたとしても350が限度と思われる。というわけで、ためしにその幅で切り出してみたのがこの画像。
最近出回っている2色混合の菱亜鉛鉱である。なかなかイイ感じなので、これからたまにこのサイズも併用してみようと思う。表示に時間がかかったら、ごめんなさい。
でも、基本はこれまで通り300でいきますのじゃ。
追記:この記事を書いたのは2005年だったが、その後、ネット環境は常時接続・大容量高速通信が一般的になり、一方で閲覧環境もモニターの高画素化が進んだ。MSのOS
は Win7以降、最低解像度が引き上げられ、800x600はサポートされなくなった。そんなことがあって、サイトの画像も
400〜540pixel
幅を基本におくようにした。時代に沿うのはなかなかタイヘン。未だにフレームを使ったサイト構成を固守してますが… (2015.5.6)
その後、世の中はスマートフォンの利用が増えたことで、最適画像サイズは再び小サイズ化している。Googleがページあたりの閲覧速度(ファイルサイズ)を検索優先ファクターに採用するようになって、画質のよい(しかし容量の大きな)画像は不利な状況である。
しかしこのサイトは 540pixel
で圧縮率の低い(ややサイズの大きい)画像をメインに更新を続けてます。(2021.8.14)
追記2:標本の産地について。
この標本はコアウイラ州シエラ・モハダ産として購入したものだが(ラベル付き)、どうも怪しいようである。シエラ・モハダは同州西部の「静謐の地域」と呼ばれる僻遠の地で、炭酸塩の交代鉱床に多金属鉱石を掘った。稼働時期は
1880年代から1940年代中頃にかけてという。1990年代に浅熱水性の非酸化(非風化性)鉱体が発見されて、地域にいくつかの鉱山が開かれた。この時、菱亜鉛鉱の巨大な鉱体が見つかった。ただ色は白色が主体で「ホワイト・オア」と呼ばれた。晶洞や亀裂部には葡萄状の面をもつ巨塊が採れたが、標本は基本的に白、クリーム色、灰色などで、美麗な青・ピンク色のものはなかったようだ。
メシキコで該当しそうな産地を調べると、どうやらシナロアのショワ
Choix
にあるレフュージオ鉱山(ミナ・エル・レフジオ)産ではないかと思われる。ここも炭酸塩の交代鉱床に多金属鉱石を掘ったところである。スペイン期に稼働された歴史があるが、酸化帯の亜鉛鉱石採掘が始まったのは20世紀半ばのこと。鉱体は2000年代末に採り尽くされた。
1970年代初から美しい葡萄状の菱亜鉛鉱の標本が出回った。色は白、灰色、青、菫、ピンク、黄と多彩で、リョーライトの母岩を美しく縁取りしている。ピンク色の標本を
No.108に載せたが、この色はコバルトによる呈色といわれ、加えてマンガンを含むものは短波紫外線で明るいピンク色に光る。ピンク色は
1997年に多量に市場に出回った。
2005年から2009年にかけて大量の菱亜鉛鉱が採掘されてショワのか焼工場に送られたが、その中から5トンに及ぶ上質品が製錬を免れ、標本市場を賑わせたという。
MR誌 42-5号(メキシコ号 2011年)にレフュージオ鉱山の特集記事がある。画像と同様の青(緑)色にピンク色の部分の混ざる標本が紹介されている。私の知る限り、2色混在タイプの標本は一時期出回っただけで希少と思う。 (2021.8.14)