361.ダイアナ石 Dianite (ロシア産) |
ロシア、シベリアのサハ共和国(旧ヤクーティア)にネフライト・ジェードの鉱山がある。ここで青い石の脈が見つかった。G&G誌によれば1994年のことだ(付記参照)。1997年頃からシベリアン・ブルー・ジェードの名で市場に流れ始め、翌年、故ダイアナ元英国皇太子妃を記念してダイアナイトの商業名がつけられた。差し渡し20センチくらいの大きさの原石が売られており、カボッション石の典型的な大きさは15〜50ct、宝石質の上級品は年産
200〜300kg
程度産出しているという。
97年の夏にダイアナさんが亡くなった時、ロシアは深い哀悼の意を表したが、こうして石にまで名を冠するのだから、よほど人気があったのだろう。名づけてみれば、たしかに青い衣がよく映えた彼女にお似合いの石かもしれない。
ダイアナ石はアンフィボール(閃石類)、潜晶質の石英、透閃石等の混成物で、青色部分は含カリウム・マグネシウム-アルベゾン閃石が主成分となっている(最近はカリウムとストロンチウムに富むリヒター閃石との説が有力)。含まれる鉄イオンはほとんどすべて3価で、これが発色に関係している。
ジェード鉱山で副産物的に採集されているため、ふつう青ジェードとして扱われている。このあたりの事情は、新潟ひすいの翠色部分が実はオンファス輝石であると分かっても、依然ひすい(Jadeite)と呼ばれるのと似ている気がする。もっともジェードという言葉自体、定義があいまいなのであるが。
付記:別説に1978年、チャロアイトと同じ産地で見つかったともいう。