377.たんぱく石 Opal (トルコ産)

 

 

common opal

白色オパール  −トルコ、シブリヒサル産


同上 −吸着した微量ウランによるとされる黄緑色蛍光

 

オパール(たんぱく石)は、カルセドニーの項(No.376)で書いた通り、鉱水中にあった珪酸成分が非流動化したものである。
ゲル状、膠状、ガラス状といった言葉で表現されるように、珪酸分子が(石英のように水分子を排除しつつ)結晶構造に従って析出〜成長したのでなく、水和したまま身動きがとれなくなって、一定の構造を持たずに固まった状態といってよい。
かといって、まったく無秩序に固まったわけではない。大雑把にいえば数十〜数百個程度の分子が集合した単位内では、ちゃんと一定の構造秩序を具えている。しかしその単位の大きさや集まり方には一定の(繰り返しの)規則性がなく、ゆるやかな秩序しか具わっていないのである。
少し難しい言い方をすると、短距離秩序はあるが長距離秩序のない状態であり、この状態を非晶質という。

石英とオパールの物理的性質を比べると、

  石英(水晶) オパール
 晶 質  結晶質

非晶質

 組成式   SiO
 (無水二酸化珪素) 
 SiO・nH
 (水和二酸化珪素) 
 比 重  2.65 2〜2.2前後
 硬 度  5.5〜6.5くらい

と、オパールの方が軽くて柔らかい傾向にある。
カルセドニー(や玉髄やめのう)は、水を全く含まない石英(水晶)に近いものもあるが、なかにはオパール並に水を含むものもある。また結晶が完全でないため、石英特有の性質をもたないことが多い。

オパールは高温の鉱水(熱水)から急冷によって出来ることもあるが、一般には溶質分子の拡散速度が下がった低温の鉱水から出来ることが多い。
例えば200℃以上の熱水からはふつう石英が晶出するが、人体程度の温度ではオパールが生じる。

補記:短距離秩序においても、完全に非晶質で結晶秩序のないオパールばかりでなく、中には結晶度の低いクリストバル石や鱗珪石の構造を示すものも観察されている。完全な非晶質のものを オパールA、クリストバル構造を含むものをオパールC、クリストバル石と鱗珪石の構造を含むものをオパールCTと呼んで区別する。その見方を採らず、非晶質の部分をオパールとして、結晶構造を示す部分(鉱物の部分)が共存したものがあると捉える見方もある。

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