428.紅水晶 Rose Quartz (ブラジル産ほか) |
僕の好きな紅水晶をいま2つ。
ひとつはブラジル産。透明でばら色が濃い。
気体や液体はさておき、固体で透明な物質は、「単結晶」か「非晶質」かのどちらかしかないという。
この石も、自形面の見えないカチワリであるけれど、透明であるからには紛れもなく巨大な単結晶の一部をなしていたのであろう。自形結晶は小さいものしかないというのに、同じ単結晶でありながらこの豪勢さ。塊状の紅水晶は気前がよい。
もうひとつは日本産の紅水晶。眼にもさやかな、やまとなでしこの風。和紙を張った障子から洩れてくるほの明かりを、肌に味わうようなやさしい桜いろ。ただ眺めて言葉寡し。秘すれば紅水晶とぞ。
補記:長島父子の「日本希元素鉱物」の産地案内を見ていると、遠野地方宮守、福島県郡山近傍(手代木のペグマタイト)など、東北地方には美しい紅石英の産地がいくつかあったようだ。