627.トルコ石 Turquoise (メキシコ産) |
メキシコ産のトルコ石標本。アメリカとの国境に近いソノラ郡ナコザリに出るもので、アリゾナ州ビスビーと同じ山系にある鉱山だという。
07年頃だったと思うが、懇意だった業者さんが恒例のツーソン買付けのときに見つけて、いくらかまとめて仕入れられたものである。古い鉱山が最近再開発されて、トルコ石を出すようになったということだった。雲母を伴っているのが面白いと思い、手に入れた。
ナコザリという土地は、あまり古いことはよく分からないが、1660年代に銅の鉱脈が発見されたことから開かれた町である。ナコザリとはオパタ族の言葉で、「たくさんのサボテン(ノパルサボテン)」の意味。土地の景観が彷彿する。
19世紀の後半に本格的な鉱山業が始まり、20世紀初には人口
5000人の町に成長した。掘り出された銅鉱は1904年に鉄道が敷設されるまで、ろばの引く荷車で輸送された。1948年に鉱脈が尽きて町はいったん寂れたが、1968年に町の東南方30キロに大きな鉱脈が見つかり、「ラ・カリダッド」鉱山として稼働を始めた。町の人口は1979年に 3000人まで回復した。その後、
周辺の古い鉱山の再開発も含めて政府が大規模な投資を行い、1989年には3万人の町に発展して世界で3番目に大きい銅山として活動した、とwikiに
載っている。その鉱山から新たにトルコ石が出て、これを副産物として売ることにしたといったあたりだろうか。
ネットの噂では、ビスビーのような美しい深い青色のものが採れ、インディアンジュエリーに用いられているらしい。マトリクスは少なめで、マンガンの黒斑を含むものが多く、黄鉄鉱を伴うものもあるそうだ(業者さんによって説明はやや異なる)。ナコザリと通称され、約めて「ナコ」と呼ばれることもあるとか。