628.トルコ石 Turquoise (カザフスタン産ほか) |
中東や中央アジアにおいてトルコ石を好む風習は非常に古く、東方の宝石としてヨーロッパに紹介された空色のトルコ石を掘ったペルシャのアリ・ミルザ・クー(アリメルサイ)の鉱山は、十字軍の頃にはすでに盛期を迎えていたことが確実である。が、その起源はさらに千年あるいは二千年昔に遡るといわれている。古代エジプト王国にトルコ石を供給したシナイ半島の産地は5、6千年前に開発されていたというから、そのくらいは驚くに価しないことかもしれない。
数年前、ある新聞の1面に写真入りでこの古い鉱山の記事が載っているのを読んだが、今なお現役で大量のトルコ石が掘り出されており、人々はこの石をフェローザ(Ferozah)、勝利と呼んで身に着け、縁起をかつぐ、今日でもその伝統は失われていないとあった。ただ鉱石の品質は必ずしも安定していない。
画像の標本は、このところ出回っている中央アジア産のトルコ石である。産地の情報について詳しいことは分からないが、ヨーロッパから中東にかけてのトルコ石人気に乗って採掘されているようで、高騰したイラン産に競合し本家の優位を脅かすものであるらしい。