648.オノラート石 Onoratoite (イタリア産)

 

 

Onoratoite オノラート石

オノラート石-イタリア、トスカナ、ロジア、チェッティーネ産

 

エットーレ・オノラートという、歌うような響きの名前を持ったイタリアの鉱物学者さんに因む石である。組成は Sb8O11Cl2 、アンチモンの酸化物でかつ塩化物でもある。輝安鉱からの変成で生じ、針状〜刃状の結晶をなす。冷温の濃塩酸にも水酸化ナトリウム溶液にも可溶。
イタリアのチェッチーネ(Cetine)鉱山で発見され、1968年に記載された。現在までほかの産地では見つかっていない。たいへん珍しい、らしい。

補記:トスカナ地方のチェッチーネはアンチモンを目的とした坑道掘りの鉱山で、1878年から1948年にかけて稼働した。その後、古い廃坑に潜っては輝安鉱やその二次鉱物(多くはマイクロマウントサイズ)を採集するのが、イタリア人鉱物愛好家の嗜みであったらしい。そして彼らの間でもっとも人気を集めるのが、希産種の本鉱である。
針状の結晶は新鮮な時は可撓性があるが、風化すると脆くなり、表面に黄色い粉を吹く。

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