649.クレベルスベルク石 Klebelsbergite (イタリア産)

 

 

Klebersbergite クレベルスベルク石

クレベルスベルグ石−イタリア、トスカニー、ペレータ鉱山産

 

1929年、ジブニーによって報告され、ハンガリーの教師、クーノ・クレベルスベルクに因んで命名された。原産地はルーマニアのバイア・スプリエ(旧フェルゼバーニャ)。ジブニーは本鉱は基本的にアンチモンの硫酸塩で、少量の水、鉄、マグネシウム、ナトリウムなどを含むとした。
しかし半世紀ほど経って、博物館に保管されていた標本がX線を使って再度吟味され、本質的な組成式は Sb4O4(SO4)(OH)2 であること、結晶系は斜方晶系であることが示された。

本鉱はC軸方向に伸びた板状の結晶が並行集合して b軸に束をなす傾向があり、かつ束状の結晶は (010)面に並行な面がごくわずかながら歪み、2度ほど傾斜する。そのため連晶は b軸に対して少しずつ旋回し扇状に並ぶ。本鉱の特徴であり、その見かけによってジブニーは本鉱を単斜晶系と考えていた。

画像はイタリアのペレータ鉱山産の標本。この産地からは長さ2cmの結晶が出ている。同国チェッチーネ鉱山でも産出が報告されている。

補記:ごく希産種ながらイタリアにはペレータとチェッチーネの二つの産地があって、イタリア人愛好家の誇りとなっていた。ペレータ鉱山は 1946年に稼働を終えた後、彼らの間でよい標本採集地と目されてきた。ズリ山採集のみならず、主坑道に沿うように二つのトレンチ(側溝)が 1970年代まで掘り進められ、新しい標本を提供したという。
ペレータ産の本鉱は 1978年にマウロ・タッチーニがズリから発見して報告し、以来巡礼のお目当て品となった。

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