650.セルバンテンス石/アンチモン赭 Cervantite (マケドニア産)

 

 

Cervantite セルバンテス石

セルバンテス石 -マケドニア、アダン、アルシャール

 

天然の四酸化二アンチモンで、組成式Sb3+Sb5+O4。電荷の(酸化状態の)異なる2種のアンチモン陽イオンの酸化物である。1850年に原産地のスペイン、ガリシア地方セルバンテスに因んで命名されたが、その後いったん記載が疑問視され否定された。しかし、1962年にセルビア産の標本が再検討され、合成物との比較を経て種として確定した。原標本は保存されていないし、またこの産地からの後続標本もないという、そのあたりはナゾである。
通常、黄色味を帯びたくすんだ土状クラストまたは礫状として産する。おもに輝安鉱からの変成物として生じること、他のアンチモン二次鉱物と同じであると考えられるが、確証はないらしい。いったん黄安華のような二次鉱物が生じた後にさらに変化して出来るとも解釈されている。

画像の標本は結晶の形が見えるが、「本鉱は自形の報告がない」(加藤)ということなので、なにかの仮晶なのであろう。標本の売り手はマケドニアのアルシャール Allchar は本鉱の(第二の?)原標本産地だと言っていたが、その通りかどうか分からない。

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