No.16 ハノーバー市街
私のドイツでの移動はたいてい鉄道による。
それで町の散策もたいてい鉄道駅から始まる。
ハウプトバンホフ(Hbf)を出て、まずは目抜き通りを歩く。
ハノーバーの印象は、秩序と間合いの広さである。
町を作る個々の要素はほかの町と共通しているが、
ひとつひとつが整然とカッチリしていて、
しかもそれぞれを配置する空間が広いのである。
…って、説明になってないか。
中央駅前の広場
ここから真っ直ぐにお洒落なプロムナードが伸びる
広場にある銅像。
帰ったら誰だか調べようと思って、そのままです。
→ cf. No.78
ハノーファー
どんどん歩いて、
歩いて、
途中には、ドイツならどこにでもある
広場の巨樹とその下のビアガーデン。
いつしか道幅は狭まり、枝分かれし、曲がって
いずかたかへと逸れてゆく。
ひとつの道は礼拝堂前を回り、
ひとつの小径は別の教会の鐘楼へと向かう。
あるいは料理店の並ぶ賑やかな界隈へと誘う。
夕暮れ時、軒先に並んだテーブルとイスとに
そこかしこ背広姿のビジネスマン連れが、
やや上気した顔を火照らせてジョッキを上げている。
ドイツ屈指の国際見本市都市。
ちょうど大きな展示会の会期中だった。
ということは、この人たちも皆、私と同じ旅の人で、
仕事の傍ら、はるばる旅先の情緒を楽しんでいるのだろう。
活気があって、親近感を発散するその夕べ。
さらに狭い道を進んでゆくと、
旧市街は川に阻まれて行き止まった。
渡れば、向こうは広大な街。
でも私は、さっきとは違う道を引き返した。
屋根の崩れた教会堂
古い水汲み場らしい。
宮殿のような建物。
ガイドブックもなく、案内人もない旅は
見たものをただ見たままに過ぎるのみ。
こんな風にして、歩いたり、見たり、匂いをかいだり、
人の声に耳を傾けたり。
青々とした芝生。その向こうにオペラハウス。
翌朝、収穫祭の市場に紛れ込んだのがこの界隈だった。
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