769.金緑石 Chrysoberyl (マダガスカル産) |
マダガスカルでは昔から各地にクリソベリルを産したが、この標本はわりと最近になって出回り始めたもの。2010年の1月末(〜2月)に島の中央部にある町チトンドロイナの近くで発見され、同年6月には数百個の標本が採集された。そしてデンバーショーやミュンヘンショーで世界デビュー、翌年のツーソンショーにどっとあふれて多くの愛好家の手に渡った。
同島産で母岩付の標本は案外に珍しく、塊状の透輝石、柱石、角閃石‐輝石類(taramite)からなる暗色の母岩に懐胎された産状も普通でなかった(堀博士はアルミニウムに富んだスカルンだろうとされている)。クリソベリルは帯緑黄色〜カナリア黄色の長柱状で、ブラジル産のブラジル石を想わせる姿形、大きなものは長さ12cmに達した。双晶で「ない」ところも、この種(species)にしてはポイントが高く、コレクターはわくわくどきどきが止まらないわけなのだった。てへへ。