801.孔雀石 Malachite (コンゴ産) |
いわゆるシャバ(カタンガ)・クレッセント(銅、コバルト、ウランの一大採掘地帯)から孔雀石(マラカイト)が大量に出るようになって半世紀以上になる。No.800に、コンゴ産の孔雀石はあまりに大量に出回っていると書いたが、実際、ウラル産など目じゃないくらいだと思われる。
コンゴ産のサンプルを3つ並べた。孔雀石は広い平滑な表面を得ることが難しい石材で、切断面にはたいてい窪みや隙間や溝の部分が生じる。そのままでは研磨し難いし、商品としても価値が落ちるので(強度に不安があり、乾燥して反ったり割れたりするおそれがある)、補強を兼ねてペーストで埋める(ウラル産も然り)。あるいはキズのない小片を切り出してモザイクに貼り合わせるが、この場合も継ぎ目はペーストで均す(隠す)。
上2つは今出来の品。ペーストを使っているのが標本としては好悪が分かれるかもしれない。下はナチュラルな大型スライス片。
1970-80年代の品で、当時の最高クラスの品質。世界最良の孔雀石はウラル産であると言う向きもあるが、私としてはコンゴ産も絶対にひけをとらないと思う。
ありふれていようがどうしようが、標本はあるときに手に入れるのが幸せ。