810.灰チタン鉱 Perovskite (ロシア産)

 

 

 

perovskite

灰チタン石 - ロシア、コラ半島、アフリカンダ産

 

カルシウムとチタンの酸化物で組成式 CaTiO3、本邦ではペロブスカイト、ペロヴスキー石、灰チタン石などと呼ばれる。英語圏ではシンカンカスがペロフスカイトと発音を示している。ロシアの鉱物学者 L.A.ペロフスキーに献名され 1839年に報告された(ウラル山脈を原産地とする)。組成的にチタン石から石英を抜いた物質に相当し、チタン石が生じるよりも珪酸に乏しい環境で出来たことを示唆している。
希産種で単純な(疑似)立方体結晶をなす。ニオブを含むと立方-八面体ないし八面体形状を示すことが知られており、アーカンソー州のマグネット・コーブに産するものは dysanalyte と呼ばれた(今日では亜種名、ニオブのほかタンタルやイットリウムも含む)。理想組成から外れたものが一般的で、チタンを交代するニオブの割合は Nb:Ti=2:5 に、カルシウムを交代するセリウムの割合は Ce:Ca=4:7 に達するというから希元素鉱物といっていいかもしれない。ニオブ優越種のラトラッパイト(Latrappite)の組成は (Ca,Na)(Nb,Ti)O3、セリウム優越種 ロパライト (Loparite-(Ce) )の組成は (Ce,Na,Ca)(Ti,Nb)O3 で示される。
またカルシウムはナトリウムにも置換され、その割合は Na:Ca=1:4 に達する。さらに常に鉄を含むといい、上の標本も付着した鉄錆がそのことを示しているようである。赤茶色〜黒色、淡色のものは稀で、黒色の結晶は金属光沢を示すことが多い。
地上では希産だが、地球内部には上部マントルを構成する鉱物(ないし結晶構造タイプ)として大量に存在すると考えられている。

コラ半島にあるアフリカンダ・マッシフの中心部には「ペロフスカイト採石場」と呼ばれた場所があり、本鉱が大量に採掘された。その標本は 90年代初期に西欧市場に盛んに流れた。暗色で脆いパイロクセン/アンフィボールと方解石脈の接触部に、6cmに達する大型の(立方-八面体形)結晶が入っていた。これを割り取り、結晶を埋め隠す黒色物質をワイヤブラシや針を使って丁寧に取り除いて標本にしたのである。
また赤色のかすみ石中に 5mm程度のよく整った単純立方体形結晶を出した。とはいえ「ペロフスカイト採石場」は 1995年には放棄されていたそうだから、今ではいわゆる絶産品の仲間入りをしたのかもしれない。