966.水晶 レコードキーパー Quartz Record Keeper (ブラジル産) |
後に結晶学者の砂川一郎博士は、渦巻き成長理論を提唱した
F.C.フランクと、物理・光学者トランスキーとの間で激しく展開された、ダイヤモンド結晶表面のトライゴン(三角形の窪み)の成因論争に寄せて、次のように書いている。
「(中谷流のことばを借りるとすれば) ダイヤモンドは地中からの手紙であり 空でおこっている出来事よりもはるかに未知の部分の多い 解読の困難な手紙である」と。博士には「宝石は語る −地下からの手紙」という著書もある。そこでは「ダイヤモンドは地下からの手紙である。それは、雪よりももっと興味深い手紙である。なぜなら、われわれは空にゆくことはできても、地下にもぐりこむことはできないからである」とフランクが言ったことになっている。
グリーンランドに産した封筒のような形状の鉱物は、ベーギルドらが研究してエピストライト(手紙石)の名が与えられた。
cf.No.687
彼らは自然物を観察して、その様子から今あるようになるまでの経過に思いを馳せ、研究の対象を自然界からの暗号文書に擬えたわけだが、ニューエイジの文化圏では、クリスタルを自然界から人類への贈り物とみなし、なぜその石が(今この時に)自分たちの前に現れてきたのか、自分たちにどんなメッセージを送ろうとしているのかという文脈で読み解こうとする人々が存在する。
なかには随分オカルティックな世界観を持った人々もいて、「遠い宇宙から旅してきた究極的に進化した霊的存在が地球上に人類の最初の種族を生み出した。そして人類の魂が成熟した暁には、彼らの深遠な秘密の知識を分ち与える準備をした」と物語る。
そのために特別なクリスタルが選ばれ、彼らの直系の子孫であるアトランティス人やレムリア人によってプログラムされ、地中に埋められたというのだ。
かのクリスタルはいわば知恵の図書館であり、純粋なハートをもってこれにアクセスする人は、知恵に触れ、吸収し、自身の光をいや増し、大きな平和を得て、この世界のために愛を抱いて働く、と。
中谷流のことばを借りるとすれば、「クリスタルは天(人類の始祖をつくった宇宙大霊)から送られた手紙であるということが出来る」のだ。
かのクリスタル(水晶)には目印があり、頂点を形づくる6面の一つに小さな完璧なバランスの三角形が見つかるだろうという。平たく言えば正三角形が刻まれているのだ。
K. ラファエルが「クリスタル・エンライトメント」(1985/
邦訳 1992)の中で「レコード・キーパー」と呼ぶ水晶である。
突っ込みたいところは山々あるが、今日、レコード・キーパー(すなわち記録保持物)は日本のパワーストーン文化の中でもっとも有名な定番クリスタルの一つであり、もっとも多くの人々が所持して日々アクセスしているに違いない石と思われる。
願わくは、方々、深い洞察をもって手紙を読み解かれ、得られた知恵を世界のために正しく用いられんことを。
この標本は水晶の名産地、ブラジルのミナス・ゼラエス州コリントから出たものである。二つの結晶が間を橋渡しする翼部によって繋がった、聖堂風のたたずまいが優美。大きな結晶の錐面の一つにさまざまな形状の成長痕が示されていて、その一つは完璧といいたい正三角形の成長丘をなす。
試みにキリスト教新約聖書の、コリント人への第一の手紙を開くと、次のようにあった。(標本を手にとって見ていて、そうしようとインスピレーションが湧いたのだ。)
「この知恵は、この世の者の知恵ではなく、この世の滅び行く支配者たちの知恵でもない。むしろ、わたしたちが語るのは、隠された奥義としての神の知恵である。それは神が、わたしたちの受ける栄光のために、世の始まらぬ先から、あらかじめ定めておかれたものである。」(2.6-7)
ともあれ、各人の器量に応じて、目を見開き、耳をすませばいいのである。
補記:加藤昭博士は、「地球は地球語で話をしている。岩石はその文章であり、鉱物はその単語である。」と仰られたそうだ。