103.木村石 Kimuraite-(Y)   (日本産)

 

 

Kimuraite

Kimuraite

木村石(淡いモーブ色)−佐賀県唐津市満越産

 

日本で発見された新鉱物。アルカリ玄武岩中にほんのりとピンク色に色づいて眠っている。絹糸光沢を示し、紫外線に反応して赤く蛍光する。

海外の文献には、1986年命名とあっさり記されているだけだが、最初に発見された83年以来、産地が公表される以前には、東松浦半島一帯を舞台に、愛好家たちの間でかなり活発な探索劇が繰り広げられた様子だ。
福岡石の会の創立60周年記念誌(1993)に、「新鉱物、木村石を求めて」(1984)という素敵なレポートが採録されているから、ご覧になられるとよい。

アウトラインを簡単に紹介すると、報告者は、84年の9月頃、新鉱物発見のうわさを聞いて、半島を駆け巡り、毎日毎日、灰色の玄武岩を探しまわった。そして執念実って、各地で、木村石、ランタン石、ロッカ石などの良標本を得た。さらに採集メモを整理する過程で、これらの希産鉱物が、溶岩台地の上に最後に噴出した溶岩流との関係で生成したらしいこと、そのため、一帯の200〜250m等高線上に均しく存在していることまで突き止められた。採集家の鑑といえよう。

なお、木村石の発見者は、岩野氏とおっしゃるアマチュア研究家だったそうだ。(氏の報告は84年の「地学研究」に掲載されているらしい)

cf. No.830 テンゲル石

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