112.マトリクス・オパール Opal (ホンジュラス産) |
珪化度の進んだ砂岩中に出来たノーブル・オパール。本産地やオーストラリアのアンダムッカのものが有名。
もともと母岩(マトリックス)は赤茶色をしていたのだが、砂糖溶液に漬け込んだ後、濃硫酸で煮たために黒っぽく染まっている。脱水反応で炭化した糖分が沈着したためだ。お陰で、オパールの遊色がより美しく浮かび上がって見える。オーストラリアでブラック・オパールが発見される以前には、この方法で黒化したハンガリアン・オパールが、高級品として出回っていたという。黒めのう(オニキス)の色あげも同じ理屈で行われるが、砂糖の代わりに蜂蜜を使うと、ひときわ黒が冴えるという。最近は約700℃の高温で処理する方法も開発されているそうだ。
この標本は、ある標本商がサンプル的に処理したお遊び品を、面白そうなので譲ってもらった。
追記:めのうを蜜で煮た後、硫酸処理してオニキスを作る方法は、すでにギリシャ・ローマ時代に存在した。(Cf.No.712 補記2)