124.蛍石 Fluorite (スペイン産) |
蛍石は、さまざまな条件下で出来る鉱物で、保育社の「鉱物・岩石」には、「花崗岩、ペグマタイト、各種の高温熱水脈や低〜中温熱水脈、スカルン鉱床、黒鉱鉱床に産する」とある。
この標本の母岩は、風化した花崗岩だ。蛍石は、母岩の裂け目に侵入するかのように結晶している。小さな隙間には脈になって入っている。写真では分かりにくいが、水晶を伴っている。
しかし以上の情報から、先のどの条件で晶出したのか判断する能力は、私にはない。
「熱せられた蒸気、または蒸気を伴った水が地殻の割れ目や裂け目に上昇した後、その中に含まれていたものが冷却して出来たとみられる」くらいで、お茶を濁しておこう。
それよりも、ほら、ご覧なさい、この綺麗な緑色を。
たれか、この美しさの理由を知っていようか!
追記:バルセロナから 40キロほど西方にあるパピオル鉱山はベルタ鉱山とも呼ばれ、鉛や蛍石を地下採掘した古い坑道が残り、その上の地表に花崗閃緑岩の採石場がある。2cm大に達する蛍石が地下からも地表からも採集できる。質の良いのは概して地表付近のもので花崗閃緑岩 中の晶洞に産し、地下のものはあまり風化していない花崗岩に伴って産する。たいてい深い緑色を呈し、八面体を基本とした複雑な結晶面を見せる。蛍石の生成期は2つのステージにはっきりと分かれており、脈状の蛍石が生じた後から、より低温の環境で八面体の結晶が晶出したと見られる。長波紫外線で青色蛍光、燐光を示す。水晶、方解石(蛍石に被る)、重晶石、また硫化鉱類と共産する。80年代後半頃から折々市場に標本が出ていた。その緑色はいくらか蛍光性の感じられる爽やかな風合いがあり、パピオル産を特徴づけているように思われる。(2019.6.29)
cf. ヘオミネロ博物館3