125.アイオワ石 Iowaite   (RSA産)

 

 

アイオワ石−南アフリカ、ファラボラ鉱山産
(顕微鏡下で撮影)

 

この石は、名前の通り、アメリカ・アイオワ州が原産の鉱物である。結晶は普通緑色をしているが、空気中の湿度や温度の変化に応じて、色が浅くなったり、錆赤色がかって見えたりする。これは成分中の結晶水が一部抜け出すためという。理想成分組成は、Mg4Fe(OH)10Cl・3H2O。280℃に熱すると、結晶水はすべて飛んでしまう。

写真の標本は、南アフリカ、トランスバール州のバラボラ坑から産出したもの。うろ覚えだが、現地の鉱山所長か何かをしていたJon Gliddon博士という方が、採り貯めていたサンプルを放出した時に、宣伝につられて買った。質のいいものだけを選んだとか言って口説かれると、どうも弱くって…。
博士のネーム入りのラベルには、随伴鉱物として、磁鉄鉱、ブルース石、コンドロダイト、方解石が挙げられている。しかし例によって、アイオワ石と方解石以外は、どれがどれだかよくわからない。
ちなみにパラボラ(ファラボウラ)の高地は方解石のような炭酸塩を主要構成鉱物とする特殊な火成岩(カーボナタイト)がアルカリ火成岩に伴って出現した地質で、一般にこの種の炭酸塩岩体は、石灰岩や熱水作用で生じた炭酸塩岩と異なり、希土類元素に富む特徴があり、銅やニオブが濃集することでも知られている。ファラボラでは露天掘りと地下採掘で主に銅鉱とバーミキュライト(蛭石)が採取され、副産物として貴金属が回収されている。露天掘り口は径2キロに及び、これはアフリカ大陸最大の人工開口部であるという。

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