144.クロム白雲母 Fuchsite   (ブラジル産)

 

 

ぺりぺり剥がれる おいらは雲母

フクサイ(含クロム白雲母)−ブラジル、ミナス・ジェラエス産

 

マンガン白雲母−ヌリスタン、アフガニスタン産

鉄白雲母−ノース・ベイ、カナダ産

マリポサイト −USA、AZ、マリコパ郡産
(クロムリッチな白雲母 −1868年シリマンによって記載)

 

珪線石は高温下で生成する鉱物で、低温域では不安定なため、白雲母などに変わりやすい。実際、No.143の標本には、緑色をしたクロム白雲母の脈が含まれている。
上の標本は、ほぼ本鉱だけからなる塊。やや暗めに写っているが、実物はなかなか鮮やかな緑色をしており、透明感もある。そして、No.143と同じく、小さな赤いコランダム(ルビー)の粒々を伴っている。どうも相性がいいらしい。少量含まれるクロムによって、それぞれ緑と赤に発色しているのが、可愛いい。

2番目以下の写真は、マンガンを含むためにピンク色になった白雲母(マスコバイト)などなど。
白雲母といっても、いつでも白とは限らない。たまにはお化粧してみたくなるのさ。

 

追記:含クロム白雲母は日本でも各地に出るが、昭和の初め頃にはまだそれと知られていなかった。最初に発見されたのは埼玉県長瀞の樋口のあたりで、荒川の川原に落ちていたものだったという。あたりは石墨絹雲母片岩の露頭があり、その中に含まれている。
発見者は希元素鉱物の研究家、長島乙吉博士の奥さんの父親で、散歩中にきれいな緑色のうろこ状のものがついた石を見つけて持ち帰ったのを、折よく長島家を訪れた浦和高校の粟津先生が見て、クロム雲母と判定したのだった。外国産の標本によく通じた方で、「日本では初めてですよ」と仰られたそうな。

長崎県西彼杵半島大串は結晶片岩の分布する変成岩帯に含まれ、各種の雲母片岩類が出る。なかにエメラルド緑色のクロム絹雲母や紫色のクロム緑泥石(菫泥石)が出るという。

鉱物たちの庭 ホームへ